困ったことが起きたとき
大変なときや弱っているとき など

適切に「誰かを頼る」「誰かに助けを求める」ことが
出来ていますか?

人に助けを求められない

助けを求めずに、いつもひとりで頑張ってしまう人の中に

◎自分が助けを求めていい状況にあることがわからない
◎誰かに助けを求めるという選択肢を持っていない

というタイプの人がいます。

「頑張ってもうまくいかずに疲れている
もう無理だと思うけれど頑張るのがやめられない」

という相談をされたAさんも、同じタイプでした。

具体的には、こんな特徴があります。

●自分の感情や感覚を無視する、または鈍い
●何でも頑張ることが当たり前と思っている
●誰かに頼るという発想がない
●自分は助けてもらえないと思っている
●人と比べては「もっと大変な人がいる」
「自分はまだマシ」と考えがち
●周りの人とコミュニケーションをとるのが苦手

Aさんに幼少期の話を伺うと

”母親は、いつも忙しくしていて、感情的、支配的で
ちょっとしたことでヒステリックに怒鳴り散らす人だった。
いつも何でも自分で出来ることを求められていた。
自分が頑張れば何とかなると自信もあった。
父親は、感情を荒げることなくいつも見守っていてくれて
優しかった。
父親だけが自分の心の拠り所だった。”

Aさんは、父親は優しい人で、母親は毒親だったと言い
今の生きづらさは母親のせいだと思っていました。

 

しかし!!

改めてAさんの家庭を見つめてみてください。

確かに父親は、Aさんを直接は傷つけていません。

ですが、自分が、母親との間に入ってAさんを守ったり

Aさんの不安に寄り添うことはなく

また
母親を注意したり、止めたりはしていません。

本当に、見てるだけ、で
Aさんを助けてあげたり、慰めてあげたり、積極的な関わりはしていません。

 

Aさんは、人に自分の辛さを察してもらったり、気持ちに寄り添ってもらったり
助けてもらったり、なぐさめてもらったことがありません。

自分を攻撃せず、見てもらっている父親に安心を感じて、それで満足、そういうものだ、自分で頑張るしかないと思い込んでいました。

現実を見ることから癒やしが始まる

子どもにとって、一方の親が攻撃的で自分を危険にさらす存在で
もう一方が、そうでない場合、そうでない方の親は自分の味方
自分の心の拠り所と認識しやすいです。

大人の目で、一歩引いてこの家族全体を見てみると
優しく、子どもに愛情はあったとしても
父親にも心理的問題があったことがわかります。

 

Aさんが何でも自分ひとりで頑張ってしまう問題は
母親の怒りや希薄な愛着の問題でありましたが
父親が自分の感情に疎く、何事にも受け身の姿勢であり
人との関わりが薄いことも、大きな原因の1つでした。

父親は、自分の気持ちを遠ざけているので
子どもの様子から気持ちを察してあげたり、気持ちに寄り添うことがありません。
自らが行動して、母親の怒りの矛先が自分に向くのを嫌がり
人や面倒事を避けるばかりで、人との関係修復に労力を使えません。

親子の役割逆転

そもそも
この様なヒステリックで攻撃的な母親の
イライラの原因は
父親が、母親(自分の妻)と向き合わないことで
母親が、孤独感や自分の価値や居場所が無くなる不安感を
持っているから
という場合が、セラピーの現場ではとても多いです。

 

家族の中に歪みや問題がある時、誰か1人だけが原因、ということはあまりありません。

家族というシステムの中で、両親の歪みがあると
多くの場合子どもが
両親の歪みを修正しようと両親の問題を引き受ける
(親子の役割逆転)
からです。

 

他にも

幼少期に

◎親が忙しかったり、精神的に不安定だったため
親に自分を気にかけてもらえなかった

◎両親が不仲でいつも揉めていた

ということもよくあります。

 

守って欲しい親こそが

自分を危険に晒す原因だったり

助けてくれないのですから、

子どもは自分の気持ちに蓋をして、親の機嫌を伺いながら、

「自分は大切な存在じゃないんだ」

「どうせ自分は助けてもらえない」

と助けを求めることを諦め

自分ひとりで何とかするしかなくなったのです。

Aさんは、心理セラピーで

両親それぞれ真の姿をしっかりと見つめ直し
未完了だった傷付きや感情を受け入れて、完了させて
自己肯定感を高めながら


自分は助けてもらえなかった。
自分は助けてもらえない存在なんだと思っていた。
それは、悲しく、さみしく、辛いことだったし
腹が立つことだった。

けれど

それは、
親の心理的問題や都合だった。
自分の問題や責任ではない。

自分の価値がないことではない
自分は助けを求めていいし
助けてもらってもいい、大切な存在なんだ ”

とトラウマを癒し、自己肯定感を高めながら
新たな思考と
「自分を大切にする」「きちんと人に頼んでみる」
という行動を手に入れました。

 

さて、Aさんの幼少期の養育環境は、私自身の養育環境ととても似ていました。

なので、今回の話は私の実体験を合わせて例題として書かせてもらいました。

 

自分のことを振り返る時、触れたく無かった、気づきたく無かった痛みを体感することがあります。

けれど、それは幼い未熟な自分を受け入れ、労ることで、精神的な成長を遂げるために必要な過程になります。

心理セラピーセッションでは、適切にサポートしますので、必要以上に不安に思わないでくださいね。

 

 

では、また。