話し合いが怖い
仕事上の会議での議論のようなものではなく
同僚や、パートナー、友人などとのもっと気楽な「話し合い」でも
「話し合いをしよう」と言われるだけで、胸がざわつき、逃げたくなったり
「話し合い」の場で、相手と意見を交わすことが怖くて
頭が真っ白になり何も言えなくなったり、我慢して相手に従ってしまう。
このように話し合いが怖い、苦手だと感じる人は少なくありません。
あなたもそうではありませんか?

「話し合いが怖い」
その背景には、過去の経験や家庭環境が深く関わっていることが多いのです。
今日は、話し合いが怖い心理的原因と解決へのステップを書いてみますね。
話し合いが怖い原因
話し合いとは、本来
「お互いの気持ちや意見を伝え合って、
尊重や理解し合い、折り合いを付けて物事を進めるための対話」だと思うんです。
でもその「話し合い」が怖いと感じるのは、、、
1. 「意見を聞いてもらえなかった」記憶
幼い頃、自分の意見を伝えようとしたときに
「子どもは黙ってなさい!」
「そんなのダメに決まってるでしょ」
「なに言ってるの、バカじゃないの」
といった言葉を浴びせられ、怒られたり、冷たく・軽くあしらわれた経験があると
「自分の気持ちや意見を言うことは怖いこと、ダメなこと」
「どうせ言ってもムダ」
「言ったら傷つくから黙っている方がいい」と思い込むようになります。
そうして
「拒絶されるくらいなら黙っていよう」と
恐怖を避けるための防衛的な回避パターンや
「自分の意見を言うなら完璧じゃないとダメだ」という完璧主義を身に付けることが
話し合いの場で「頭が真っ白になる」「黙ってしまう」ことにつながります。
2. 「親の言うことを聞き入れるしかなかった」家庭環境
親が支配的や権威的で
「口答えするな」
「うちはこう決めたんだから従いなさい」などと
「話し合い」ではなく「命令」「指示」が日常だった。
こうした環境では、そもそも「気持ちを聞いてもらう」「対等に意見を出し合う」という経験がほとんどできません。
「上からの指示を聞くだけ」
「言われたことには従うしかない」になり
話し合いという概念が育ちません。
そして
・いつも他人を優先し自分を抑えてきた
・自分の感情や考えを言語化する習慣がない
このことが繰り返されると
「自分でも自分が何を感じているのか?思っているのか?わからない」となってしまいます。
結果として、大人になっても
「意見を言ったら怒られるかも」
「相手の言うことをそのまま受け入れるしかない」
「自分の気持ちや意見は取るに足らない」
という思考が抜けなかったり、何も伝えたいことが思い浮かばなかったりして
話し合いの場で、萎縮してしまう、自分のことを言語化できない
過度に相手に合わせてしまう、ということが起きるのです。
逆に、一方的に自分の意見だけを強く言って、相手を受け入れない
親と同じパターンや、過度な自己防衛パターンになる場合もあります。
3. 「話し合い=対立=悪いこと」という思い込み
日本では特に「和を乱さないこと」「波風立てないこと」が美徳、みたいなことありますよね。
そして、先に書いたことや、いつも両親が言い争うのを見ていた経験などがあると
意見の違いを「対立」「ケンカ」「不和」で「いけないこと」と捉えがちです。
「話し合い=相手を傷つける」
「話し合い=波風を立てる」と感じて、避けたくなる人も多いのです。
だから
「話し合いは避けた方がいい」と話し合いの場から逃げたくなったり
「対立を生むくらいなら黙っておこう」となるのです。
このように、過去に自分の気持ちを言ったことで心が傷ついたり
「話し合う」体験が無かったことが
「話し合うことが怖い」につながります。
「話し合いが怖い」状態がもたらす問題
さて、私たちはひとりひとり違う人間なので、感じることや意見が違うのは当たり前のこと。
だからこそ、それを言葉にして
違いを知ったり、すり合わせたりして理解を深めるのが
話し合いの本質であり、大切な事なのです。
だから、「話し合い」を避けていると
仕事でもプライベートでも以下のような問題が起きやすくなります。
・お互いにとって重要なことを決められない
・いつも相手の希望を優先し自分を犠牲にする
・不満が溜まって爆発する
・「わかってもらえない」と孤独感が増す
・お互いの理解や親密さが深まらない

大人の私たちにとって、話し合いを避けることは
話し合いの怖さから自分を守るようでいて
実は、不安や不満などデメリットが大きく
人間関係に於いても、関係性が深まらなかったり、関係が壊れるケースも多いのです。
解決へのステップ
では、どうしたら「話し合いの怖さ」を和らげていけるのでしょうか。
以下に具体的なステップを紹介します。
① 自分の過去を振り返り傷付きを癒す
まずは「自分はなぜ話し合いが怖いのか」を知ることが大切です。

「子どもの頃、意見を言うと怒られたな」
「話を聞いてもらえなかったな」
「親には従うしかなかったな」
そうした恐怖や悲しみを感じて傷ついた経験を見つめ直し
傷付きを癒しながら
「気持ちを聞いてもらえなかったのは自分のせいではなかった」と認めてあげましょう。
過去の環境や経験が、今の怖さや苦手意識を作っただけで
今の自分には、伝えたい気持ちや意見があり、話し合う「力」があると再認識しましょう。
② 「話し合い=対立、勝ち負け」ではないと理解する
話し合いを「対立」「説得される」「勝負」と捉えると
「負けたくない」「言い負かされるのが怖い」という気持ちが強くなります。
でも、先にも書いた通り、本来「話し合い」は、「違いは何なのか」
「どうすればお互い納得できるか」を探す時間です。
「意見が違うのは当然」
「落とし所を探すのが話し合い」と新たな価値観に変えてみましょう。
③ 安心の人と気楽な(小さな)場面から練習する
いきなり公式の場・相手、深刻なテーマで話し合うのはハードルが高いものです。
信頼できる友人やパートナーと
「どこにランチに行く?何を食べる?」
「どの映画を観る?」
「次の休みは何する?」といった軽いテーマで少しずつ
「自分の意見を言う」「相手の意見を聞く」を練習してみましょう。
小さな成功体験を重ねながら
「言っても大丈夫」「相手のことも聞く」という感覚を育てていけますよ。

あなたの中にある「話し合い」の「怖さ」には、ちゃんと理由があります。
今からでも、少しずつ「意見を言っていい」「話し合っていい」という感覚を育て直すことは可能です。
でも、怖さの根っこに、強い恐怖心やトラウマ的な記憶がある場合もあります。
「頭ではわかっているけど、どうしても体が固まってしまう」
「話し合いになると頭が真っ白になる」
「話そうとするとノドが締まる」など
自分でコントロールできない体の違和感や、深い苦しみがあり
自分ひとりでは、怖さを見つめ直せないと感じるなら
カウンセリングや心理セラピーなど安心安全な場で
心理のプロのサポートで過去の傷を癒すことも大切です。
・誰かと分かり合いたい
・もっと正直に話したい
・人間関係を深めたい
・もっと気軽に話し合いたい
その気持ちを大切に、少しずつ自分を育て直し
話し合いの練習してみてくださいね。
では、また。