こんにちは。
福岡・北九州のリトリーブサイコセラピスト待鳥智美(まちどりともみ)です。

 

毒親に受けた心の傷(トラウマ)に苦しんでいる人は多くいます。
恨みや怒りを持ち続けてくるしむ人も、親を許せないと思いながら許さなければいけないとも思う自分に苦しむ人もいます。

「許せない、恨んでいる」と怒りを持ち続けたり、「許せない、許さなければいけない」と苦しむ方に向けて、本当の問題とは何か、どうしたら楽に自分の人生を生きられるようになるのか、お話ししたいと思います。

Q.親を許せなくてもいいですか?

Q.親を許せなくてもいいですか?

と聞かれたら、私は応えます。

A.許せなくてもいいです

 

親を許すかどうかで悩み、苦しむのは、どうしてでしょう?
許さなければ、何が起こりそうなのでしょう?

親を許さなければいけないと思うのは、
『親は、尊敬し、感謝するものだ』という道徳的なものや世間一般論や、
『例え、自分を傷つけた相手でも、許しましょう』というよくわからない教えのようなものを
取り入れて縛られているからでしょう。

親に支配されて育った人は、愛着が不安定で、自分の考えを持つことが苦手です。
すると、一般に言われていることや、誰かが言ったことを、自分の信念のように信じて頼りにしてしまいます。

だから、本当に自分が許したいと思うのではなく、『許さなければいけない(と信じている)のに、許せない自分』がいることに苦しくなります。

親に支配されて育った人は、自分を責める感覚(罪悪感)を抱えています。

・育ててもらったのだから
・〇〇してもらったから
・私のためを思っての行動だったのだから

このような思いに囚われますが、それは、親が巧妙に植え付けた罪の意識なのです。
〈詳しくは関連記事→「毒親から離れられないのは罪悪感のせい」をご覧くださいね。〉

罪悪感を持つ感覚が普通なので、『許さなければいけないのに、許せない自分』という理由を見つけては、わざわざ自分で自分を責めて罪悪感を感じる状態にしてしまい易いのです。

 

「許せない」のは、今も恨んだり、怒ったり、近づいたら危ない予感があり、幼い頃の心の傷(トラウマ)も癒えていないからです。

自分の中に、消化されていない感情や癒えていない傷を持ったままでは、許すことはできなくて当然だと思うのです。

だから、許せていないのなら、無理して許す必要はないのです。
許せない自分を責める必要もありません。

 

でも、ちょっと待ってください。
ここからが本当の問題です。

親を恨んでいる、怒っていることは悪いことでも問題でもありません。
けれど、ずっと恨みや怒り、罪悪感を持ち続けるということは、親にこだわり続けると言うことになります。
何度も傷ついた場面を思い出す度に自分を傷つけ続けることにもなります。

親に支配されて育った人は、親との間に安定した愛着が形成されず、罪悪感を抱えています。
親から離れた外の世界は不安だらけなので、親から心理的に自立して離れることも出来ないのです。

本当の問題は、
「許すか許さない」「恨んでいる」「支配されたまま」のどれかではなく、どうあるにしても、親にこだわり続けていて、罪悪感を抱き続け自分の人生を生きられないという共依存の問題なのです。

本当の問題は親子共依存

親が謝ってくれたら、変わってくれたら、許せるのに…
恨みや怒りをぶつけて、私がどんな思いだったかをわからせたい、謝らせたい…
という思いを持つ人もいるでしょう。
親のせいでこうなったという怒りや被害者意識を、親に仕返しすることで晴らしたいという思いです。
しかし、ほとんどの場合、親は、謝らない、変わらない、わからない、です。

どんなに泣いて怒って責めたてても、冷静に伝えても
逆ギレされ返り討ちに遭うか、
今更そんなこと言われても自分も一生懸命だったのよとはぐらかされるか
でしょう。

場合によっては、表面的に謝ってくれる親もいるかもしれません。
一瞬スッキリはするでしょう。けれど
親が謝ってくれても
親が変わってくれても
親がわかってくれても

あなたも問題は何も解決には向かわないことに、しばらくすれば気づくでしょう。

「あ~、親の問題がスッキリした。
さあ、これから自分を大切にして生きていこう!」
となるでしょうか?

自分はこれからどうしていきたい?
好きなこと、やりたいことって何?
頼れる人は?

自分のこととなると、不安だらけ、わからないことだらけで、結局、「親のせいだ」とまた恨みや怒りを親に向けることになったり、何をしていいのかわからなくて無気力になったりするでしょう。

 

親に厳しくしつけられた子どもが、何かの躓き体験をきっかけに家庭内暴力を振るうようになったり、ひきこもりになったという話は聞くことがあるのではないでしょうか。
また、その子どもに手をやいた親が、子どもを殺害したり、心中を計ったりというニュースもありましたね。
いずれも、親と子どもの間での支配と依存の思考パターンが、家庭という閉ざされた空間で持たれ続けたことが背景にあると思います。

 

親にこだわり続けるとは、進んででも渋々でも親に従うことも、親に恨みや怒りを持ち続けることも、根っこは同じ【常に自分の中に親を取り込んでいる共依存状態】のことです。

受け入れがたい言い方かもしれませんが
親へのこだわりを持ち続けると、メリット(利得)がたくさんあります。

〇自分が出来ないことを親のせいに出来て、自分で責任を取らなくて済む
〇温かい愛情では繋がれなかったが、いつも親との繋がりを感じられて、本当の絶望や孤独を感じず済む
〇親から離れないので、罪悪感を感じずに済む
面倒を見てもらえる など

つまり、
親にこだわりを持ち続けることは、
親と心理的に繋がり、お互いに面倒を見て、
支配と依存の関係を続けている
こと
です。

これでは、親と自分は常に一緒の感覚なので、自分の人生を生きているとは言えません。

このまま、親と繋がり続け、何でも親のせいにしたり、親に頼っていたら、あなた自身の人生はどうなるでしょう?

自立するために

では、どうしたらいいのでしょう。

自然の摂理的に言えば
親は、
子どもを尊重し、大切に愛情を注いで関わります。
親子の間に安定した愛着が形成され、子どもは安心感を持って外の世界へと行動や人間関係の範囲を広げます。
子どもは親との違いを認め、自我を確立し、自立へと向かいます。
親も自分も一人の人間として尊重します。

毒親は、
子どもを尊重しません。
自分の価値観を押しつけます。
怒ったり、脅したりして、子どもをコントロールします。

当然
子どもは、心身共に傷つき、様々なことを我慢しています。
愛着も不安定です。

適切な手当てをしなければ、大人になっても、傷も我慢も不安定さも残ったままです。

だから、
自立するために必要なことは次のようなことです。
●傷(トラウマ)を癒す
●我慢するしかなかった感情(怒り・悲しみ・さみしさなど)を安全に解放する
●不安定な愛着を安定した愛着へ築き直す
●信頼して頼れる安全基地となる人を見つけて頼る

●親との境界線を意識する
●自分軸を育てる

自分ではどうしたらいいのかわからないこれらのことも、心理セラピーでは、親子問題の根っこから丁寧にしっかりと扱うことが出来るのでおすすめですよ。

これまでにも、親に囚われ自分の人生が生きられずに悩み苦しむ方が、楽に生きられるようになったとゆるむ姿や、自分の意思をまっすぐな視線としっかりとした口調で話されるように変化する姿を多く見てきました。
深いトラウマや、複雑に絡んだトラウマの場合も時間はかかりますが、変わりたい思いがあれば、変わっていくことが出来ます。

自分の生き方に不安や違和感、悩みがあれば、ご相談くださいね。

自立とは、自分で責任を持って自由に選択できることです。

自分の好きなもの、好きな人、やりたいこと、進みたい道…など
自分の中に軸を持って選びながら、生きていけたらいいと思いませんか?

 

例え自分の親が毒親だったとしても、自分の人生を生き、自分の幸せを見つけることはできます。
従い続ける・恨み続けるでも無く、許す許さないでもありません。

親にこだわって縛られ続ける生き方をやめたとき、
親は親、自分は自分と思えるようになり、自分らしく生きることができるのです。

 

自分を大切にすることに夢中になり、親はそのうち許せたらいいな、くらいで良しとしませんか?

これからの自分のために、出来ることをしてみてくださいね。

では、また~。