子育てに悩むお母さんの口から、
「子どものために言ってあげてるのに、言うことを聞かない」
「この子が、○○だったらこんなにイライラしなくて済むのに」
「お母さんが変わると、子どもは変わるって本当ですか?」
という言葉を聞きます。
言葉はどうあれ、子どもを変えたい思いとは、
【子どもを自分の都合のいい子に変えたい】という想いです。
それは、『あなたはあなたであってはいけない』というメッセージ。
メッセージを送られた子どもは、親の元で生きるため・愛されるために
「自分らしさ」を捨てます。
「自分らしさ」を捨てた子どもが大人になると、
周りの人にも「自分らしさ」を捨てることを望むようになります。
《お母さんから、子どもへ》と伝える連鎖となります。
どうしてそうなるのか、「私」を例に書いてみました。
こんにちは。
福岡・北九州の心理セラピスト待鳥智美(まちどりともみ)です。
リトリーブサイコセラピーという心理療法で、絡み合った心の糸を解きほぐし、
本当に自分が望む問題解決へのお手伝いをしています。
私を守る家を建てる
あるところに小さな「私」がいました。
近くで、「母」が、思い通りにならない相手に向かって、ヒステリックに怒鳴ったり、文句を言ったりしています。
私は、どうにか安全な居場所を確保するため「私の家」を建てました。
しかし、母は、ノックをすることもなくバンッ!とドアを開けてズカズカと私の家に入ってきます。
そして、「これにしなさい」「こっちの方がいいのよ」とまくしたてます。
私の好みや希望はお構いなしです。
私が「イヤだ」と言うなら、母は私の家の中でもヒステリックに振る舞うので、私はおびえてしまいます。
・「これができないなんてダメね」と、私の肯定感や自尊心を傷つけます。
・「あなたのために言ってあげたのに」と、言う通りにしない私に罪悪感を植え付けます。
・「いう通りにしていればいいのよ」と、私の考えは無いものにされます。
・私からの呼びかけや要求には、しっかりと向き合うことは無く、私に孤独感を味わわせます。
・「もう知らない!」と家から出て行って、私に見捨てられる恐怖を教えます。
けれど、私が言う通りにしたからと言って、ほめてくれることも、気に掛けてくれることもなく、
ただ、「よしよし、それでいいのよ」「そのまま、私に面倒をかけないでね」と満足げな様子で、遠くから見ているだけ。
私は大きくなるにつれて学んでいきます。
母に怒られるのは怖いから、母が怒らないようにすればいいんだ。
母が急に入ってきて私を傷つけるのがイヤだから、母を近づけなければいいんだ。
母に求めても応えてもらえないのは悲しいから、初めから求めなければいいんだ。
こうして、私は、私の家の周りに高い塀を作り、
口出しされない程度に何でも一人でうまくやり、
こちらから求めないで、私の家の中にとどまるという生活を選びました。
母は、「よしよし、あなたはそれでいいのよ」と安心しているようでした。
それでも、母は、時々、高い塀をひょいと超えて入ってきて、
アレコレと言っていますが、私は感情を動かさない術を身に付けていたのです。
さてさて、こうして『母に口出しされない』程度に、好き勝手にして、
文句を言われない程度に、何でも一応できる私と、
その私が安心していられる私の家が出来上がりました。
大人になった私
住みたいと思う街に土地を見つけ、自分が住みやすいと思う家を建て、母や他人が勝手に侵入できない高い塀を築き、その中に居ました。
一人で生きていく上では、大きな問題もありませんでした。
(後で振り返れば、問題だらけだったのですが…)
私の家に「夫」が増えました。
大人同士のかかわりは、まあ何とか問題ないものでした。
しかし、小さな子どもの登場によって、問題ない生活はあっけなく壊れました。
子どもがいたらいいなと望んだにもかかわらず、
毎日、子どもにイライラ、ガミガミ、ドカーン!の連続。
「こんなはずじゃない」「私はどうしてできないんだ」
「子どもが変わってくれればいい」「誰も助けてくれない」
イライラが募るばかり、気持ちの暴走を止められない、これじゃあ母と同じだ!
「あー、どうしたらいいの?!」
恐怖、不安、焦りに襲われました。
このままじゃダメだと思って、私は初めて、私と私の家を点検してくれる人に会いました。
すると、私の土地の上に、高い壁を築いたしっかりした家だと信じていたのに
なんと!!そこは、母の土地!
家の基礎は母がお手本なので歪んでいて、しかも、しっかりした柱が無い!!
じっくりと振り返ってみれば、その通りです。
母にこれ以上傷つけられないように、母に口出しされないように、母を何とか満足させるようにと、
『母』に対応するために、なんとか安心して過ごすために、私の家を築き、高い塀を作って、その中で生きている私。
私は、何でも一応一人でできる人になっていましたが、
それは、結局、母の求める【母にとって都合のいい子】でした。
いつになっても、どこに居ても、地盤は母なのだ
私がどこにもない…
私は、私らしさを持たない大人だ
私って何?どうしたいの?――わからない!
私の家も、私も、ガラガラガラ…と崩れました。
母が基準の生き方
家に例えてみましたが
家の土地・基礎は、愛着
家の柱は、自分軸
家は、境界線
どれもが、しっかりと安定した自分を確立するために必要なものです。
自分の土地を見つけ自分の家を建てたつもりが、どこに行っても母の土地で、母の基礎、柱はグラグラだった…
それは、『どんなに遠くまで飛んで行っても、何をしても、お釈迦様の手のひらの上から出られなかった孫悟空』のようだとも言えます。
子育ては、お母さんと子どもとの温かい気持ちや視線、言葉のやり取りや、肌のふれ合いが必要です。
子育てに悩むお母さんの多くは、子ども頃にこれらの経験が乏しく、
【母の都合のいい子ども】となっていました。
母の手のひらから出ることができないまま、母の基準を自分の基準と思い込んでいます。
感覚は、母と私が同一人物のようなものなので、
・自分の自由にしたいと思ってもできない、自分の自由がわからない
・自分で考えられない、決められない
・人との心地よい距離感やかかわり方がわからない
・自分の気持ちがわからない
「どうしたらいいのかわからない」と思うのも当然です。
だからこそ、子どもを思う通りに動かしたくなるのです。
(その思いも自分のものではないので苦しくなるのですが…)
私が変わる
自分はどういう人間なのか
自分はどうしたいのか
自分がなかった「私」が、ここをしっかりとすることが、
「私が変わる」ことです。
はっきり言って、お母さんが変わったからと言って、
子どもが変わるとは限りません。
お母さんが変わるのは、お母さんの問題だからです。
しかし、お母さんが変わらなければ、子どもが変わることはあり得ないです。
「私」が変われば、これまでと同じ状況を見たときの私の感覚や相手への対応がかわります。
その結果、相手も私への気持ちや対応が変わるということはあるかもしれませんね。
本当の自分の家を築き直す
さて、
何もかもを失った、もう絶望しかない!
と思いましたが、
この現実を受け入れさえすれば、あとは、ひとつずつ作り直していけばいいんだ、と気づくと、かえって楽で自由を感じました。
もう、高い塀はいりません。
私の家の中はとても居心地がよく、気分良くいられます。
子どもを見てもイライラせず、見守ることができるようになりました。
家族も同じように過ごすことができる安心の空間です。
母の土地を捨て、自分の土地を手に入れて、平にならし、しっかりとした基礎に柱を立てましょう。
それは、母を捨てることではありません。
私がどうしたいのかを大切に、私らしい家を建て直していいのです。
自分がどんな土台の上に立っているのか
自分とは本当はどんな人なのか
自分はどうしたいのか
「どうしたらいいのかわからない」「生きづらい」
そう思ったときは、ぜひ、自分をしっかりと見つめ直してみてくださいね。
自分が本当に望むものがわかれば、その道を進むだけです。
その時には、サポートしますので、ご相談くださいね。
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関連記事⇒「いい人」をやめることができないのはどうしてなのか
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このように悩んでいるあなたへ~
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