こんにちは。
福岡・北九州のリトリーブサイコセラピスト待鳥智美(まちどりともみ)です。

 

先が見えず、長引く自粛生活ですね。
自分が思うよりもストレスや不安を感じているかもしれません。
自分の体や心にも意識を向けて、労りましょう。
できる範囲でストレスを解消したり、楽しむことを忘れないように!

 

「面前DV」という言葉を聞いたことがありますか?

日常的に両親(パートナー)が、子どもが見聞きできるくらい近くで激しいケンカやDVを行うことです。

両親間の激しいケンカやDVを、頻繁に目にしていた子どもの脳は、大きなダメージを受けることがわかっています。

自分自身が暴力を受けた以上に、脳は大きなダメージを受け、トラウマ(心的外傷)となり心にも傷を負います。

このような日常では、両親との安心した穏やかな関わりができず、愛着形成も不安定になります。

これらのことから、面前DVを受けた子どもは、不安や恐怖に過敏でストレスを抱えやすくなり、人間関係もスムースに行きにくく、何かと生きづらさを感じることになりやすくなります。

 

子どもの頃に負った脳や心の傷は、どんな問題を引き起こすのでしょうか?
これからの自分のために、穏やかで安心できる生き方・本当に自分が望む生き方を手に入れるためにどうしたらいいのでしょう。

面前DVは子どもの脳を傷つける

医学博士である友田明美先生の研究がメディアで取り上げられ『マルトリートメント』=不適切な養育という言葉が知られるようになりました。
そして、虐待(身体的・心理的・性的・ネグレクト)、暴言、子どもの前での夫婦げんかなど、親の不適切な関わりによって、成長過程にある子どもの脳が変形する可能性があることが伝えられています。
(参考図書:「子どもの脳を傷つける親たち」友田明美著、NHK出版新書)

この書籍の中で、両親の激しいケンカやDVを頻繁に目にすること(=面前DV)や暴言を耳にすることは、自分自身の虐待経験以上に、脳の視覚野や聴覚野と言われる部位の変形が認められることが書かれています。

 

成長過程の子どもは、面前DVによって、脳へのダメージ、トラウマ、不安定な愛着形成などが絡まり合い、安心と安定の中で成長した自分らしい生き方よりも、不安や生きづらさを感じやすく他人に左右されやすい人生を歩む可能性が大きくなるのです。

トラウマ(心的外傷)と不安定な愛着形成

本来、子どもが愛し、頼りたいはずの両親の暴力や暴言を日常的に見聞きすることは、子どもにとってとても恐怖や緊張を感じる辛いことで、大きなトラウマとなります。

トラウマは忘れよう、思い出さないようにしようとしても、癒されない限り、心身に残り続けます。
突然のフラッシュバックやパニック症状として表出することや、抑うつ症状となることがあります。

 

両親の暴力や暴言など目の前で起こる状況は、子どもにとって理不尽、納得や理解できないもので、子どもが解決できるものでもありません。
それでも、子どもなりにそれをどうにか納得しようとして「私が悪かったから」「私のせいだ」と罪悪感を持つようになります。
解決しようとしても解決できなくて「私がダメだから」「何の助けにもなってあげられない」と自分の存在に無価値感や無力感を感じてしまいます。

このような感覚を常に感じることは、自己肯定感や自己重要感の低さになり、自分の人生を生きることに前向きになれないことにつながります。

両親間の問題を子どもが解決することはできない
自分(子ども)が悪かったのでは無い
という客観的事実を、歪めて認識してしまったことが、子どもに重くのしかかります。

 

 

また、不安定な愛着形成によって、いつも不安を持ったり、恐怖やストレスに過敏になることもあります。
不安やストレスをうまく処理できずにため込みやすいのも特徴です。
自分自身の不安定さを元に、穏やかで安定した人間関係を築くことが難しいため、人間関係のもめ事に巻き込まれたり、もめ事を避けようとして人と関わることを避けて一人を選んだりしてしまいます。
反社会的な行動を取りやすいこともあります。

このように、幼い頃の傷付きや、その傷を広げないようにするために適応した生き方は、大人になって様々な生きづらさを感じることとなりやすいのです。

 

大人になっての生きづらさの例として、恋愛や結婚にも、子育てにも困難を感じることが挙げられます。

DVのパートナーを選んでしまったり、自分がDVしてしまう

DVをひどく怖れて嫌っているにもかかわらず、なぜか繰り返しパートナーにDVをする人を選んでしまうことや、自分がDVをしてしまうこともあります。

これは、いつも見ていた両親の関わり方や生き方のパターンを、お手本として学び、自分に取り入れてしまっているからです(反復強迫)。

※反復脅迫については、こちらでわかりやすく話されていますので、ご参考に。

離れたいけど離れられない支配と依存の人間関係(共依存)を築くことで、苦しいけれど安心も感じるという状態を無意識に選んでしまいます。

子育てに困難を感じる

親と不安定な愛着しか形成できなかったことは、自分が子どもを持ったとき、子どもへの穏やかな愛情を持つことや、安定した関わりができにくくなります。

子どもが自分の思うように行かなかったときに、虐待につながることもあります。

自分のトラウマが癒されていなくてパニックのようになることや、親の関わりが暴力や暴言での支配的なものしか知らないことも関係しています。

頭では、良くない、やめたいと思っているにも関わらず、そのような関わり方を取ってしまうことは、親としてとても辛いことですね。
自分の子育てが、いつも反省・後悔・心配となって苦しくもなります。

そして、そのような関わりで育った子どもは、親と同じような傾向を持つことが知られています(世代間連鎖、人生脚本)。

子育ての悩みを相談に来られた多くのクライアントさんにも、当てはまります。

傷を癒し、愛着の再形成を図る

様々な生きづらさを抱えたままの人生がずっと続くのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

 

友田先生の著書にもあるように、脳のダメージは回復する可能性があるそうです。

適切なトラウマケアや愛着の再形成によって、変形した脳が回復傾向を見せた報告がいくつもあるとのことです。

 

私は、脳科学的な回復は証明できません。

けれど、心理セラピー(心理療法)によって、安定していくクライアントさん達は目にすることはできます。

・親の生き方に縛られていたけれど、自分の望む生き方を選べるようになった人
・子どもへの愛情が感じられるようになった人
・子どもにイライラしてキレることが無くなった人

・落ち着いて穏やかに時を過ごすことが出来るようになった人
・人間関係のゴタゴタに巻き込まれなくなった人
・信頼し合える友人ができた人
・何でも自分のせいだと考えるクセが無くなった 
…など

 

トラウマケアや愛着の再形成は、とても時間がかかるもので、時に辛くじれったいと感じることもあるでしょう。
ですが、自分自身や自分の根本の問題を見つめ、癒すことは、これからの自分の人生を思ったときに、それ以上の喜びや安心を感じられるものだと思います。

そして、人との関わりで付いた傷のケアには、人と関わることが回復への必要なことでもあります。
不安や恐怖は一人では扱うことが難しいものですし、愛着は安定した人と人との結びつきの上に築かれるものだからです。

「この生き方は辛い、もう嫌だ、やめたい、変わりたい」と思ったなら、「どうしようもない」「仕方ない」とあきらめないでくださいね。

今は、様々なケアや心理セラピーなどがあります。
安心して頼ることができ、冷静にあなたの成長を見守り応援してくれるような人を見つけてくださいね。

 

その存在となれるように、私も日々学び・練習を積んでいます。
全国のリトリーブサイコセラピーのセラピスト達も同じです。
日本リトリーブサイコセラピー協会セラピスト紹介をご覧ください

 

ぜひ、ご相談くださいね。

 

では、また~。