こんにちは。
福岡・北九州のリトリーブサイコセラピスト待鳥智美(まちどりともみ)です。
リトリーブサイコセラピーという心理療法で、お悩み解決・自分の人生を取り戻すお手伝いをしています。

だんだん寒くなってきましたね。
秋晴れを利用して、衣服や布団など夏物と冬物の入れ替えをしています。
みなさんは、もう済みましたか?

今日は、「仕事も恋愛も長続きしない」
「自分がしたいことがわからない」
「どこにいても何をするにも、どうしようもなく不安だ」と、悩んでいるAさんについて話をします。

Aさんは、「自分に自信が無い」「何もできる気がしない」
「どうしたらいいのかわからない」と言い、生きることに怯えていました。

 

Aさんは、小さい頃、「たくさんの習いごとをしたけど、どれも上手くならなかった」
「勉強もそれほど、、、」と言います。
けれど、詳しく聞くと、どれも頑張っていたし、きちんと結果が出ているものもたくさんありました。

にもかかわらず、
「自分は何もできない」
「きちんと育ててもらったのに、こんなこと(心身の不調、転職を繰り返す)になって親に申し訳ない気持ちでいっぱい」と

自己否定、劣等感や罪悪感を強く感じていました。

Aさんのように、「仕事や恋愛など何でも長続きしない」「自分が本当は何がしたいのかわからない」「自分の人生が思うように進まない」と悩み、相談に訪れる人は多いです。

これらの人に共通するのは
自分自身に対する劣等感、無価値感などがあり、
「自分はダメだ」と自己否定をしているところです。
そして、その背景にある、親子の共依存問題です。

 

このままでは、Aさんの人生は、
いつも不安で、上手く進まない、繰り返し振り出しに戻ってしまい詰んでしまいます。

 

今日は、この悩みの根本の問題を見ていくと共に、どうしたら自分の人生を生きられるようになるのか?についてお話ししますね。

親の期待に応える「いい子」の子ども

私たちは、人それぞれに物事の感じ方や行動など生き方のパターンを持っています。
その多くは、幼少期の経験に紐付いています。

Aさんの場合を見ていきましょう。

Aさんの母親は、練習や勉強に厳しい面はありましたが、激しく怒鳴ったり、暴力を振るうことはありませんでした。

けれど、母親の口癖は次のようなもので、
言葉と共に、残念そうな、悲しそうな表情をするのでした。

「あなたは、まだまだダメね」
「あなたのためなのよ」
「お母さんは、あなたのことを一番わかっている」
「もっと頑張りなさい」
「そんなこともできないなんて、お母さんはもう知らないよ」

いい結果や成績が出たときや、誰かに褒められたときには
とても誇らしそうに、うれしそうにして、「いい子ね」と褒め、Aさんを自慢します。

Aさんは、母親に認めてもらえた喜びを感じ、誇らしさと愛されてる安心を感じました。

けれど、
すぐに母親は、次にやること、調子に乗ってはダメ、もっとできるように、〇〇ちゃんよりいい成績を、と際限なく指示を出してきます。

 

このような母親を見て、Aさんは、
◎自分は何もできないダメな人間だ
◎できない自分は恥ずかしい
◎できなければ見捨てられてしまう
◎期待に応えられなければ母親を悲しませてしまう
◎母親が喜ぶと愛してもらえる
◎自分は頑張り続けないといけない と思い込みました。

素の自分では愛されない感覚を味わい
自分はダメな人間だと思い込み
自己否定、劣等感、恥、罪悪感、見捨てられ不安などを感じていたので

自分が自分で生きることには、いつも不安や恐怖が張り付いていました。

だから、
この不安や恐怖を感じないで済むように、喜んでもらえるように
一生懸命に、母親の機嫌を伺い、
言われたことや、やるべきことを頑張り
母親の指示、期待に応える「いい子」になったのです。

「いい子」で生きるには、母親の機嫌や指示を優先しなければいけません。
いちいち自分の感情や感覚、考えを大切にしていられないので、
自分の感情や感覚、価値感や考えを捨ててしまいます。

自分を捨てて、母親の感情や感覚、価値感や考えと同化していきます。

母親は、「この子は私がいないと自分では何もできないダメな子」というレッテルを貼り
何についても指示を出し、決定権を持ち、世話を焼くようになります。

そうして
子ども自身の人生の決定権は、完全に母親に握られます。

人生を乗っ取られた子どもの苦悩

子どもが、自分の人生の決定権を母親に預けることは、楽や安全のメリットがあります。
けれど、子どもは成長していきます。

成長して
自分の人生を生きようとしたとき
人間関係が広がったり深まるとき
自分自身が生きる指針にならないことは、不安や恐怖が大きくなります。

大人になっても、親の言うことを聞いたり、
頭の中で、親が反対しない・喜ぶことという指針で自分の人生を決めるしかありません。

けれど、それでは、不本意で窮屈で、違和感や不満がたまります。

 

また、自己否定を抱えていると
何かが上手くいくと、無意識に壊したり手放すという破壊行動をして
ダメな自分に戻ってしまいます。
仕事や恋愛が長続きしない悩みになってしまいます。

 

いつも、何をするにも
不安や恐怖があり、違和感や不満がたまる
物事や人間関係が安定して長続きしない、、、

つまり、人生が上手くいかない、満足するように進まない、という感覚を味わい続けるのです。

子どもの人生を乗っ取る親

最近は「毒親」という言葉が定着しましたね。

子どもにとって、子どもの人生に何でも口出ししたり、勝手に決めていく親は、
ちっとも子どものことを考えない
子どもの人生を乗っ取る
自分勝手で乱暴な「毒親」と呼べるでしょう。

しかし、親の方は、「子どものため」「これが親としての愛情」
「子どもが自分では何もできないからやってあげている」と思っている場合がほとんどです。

「毒親だ!」と言おうものなら、
育ててやったのに、恩知らず!と激怒したり
あなたのためを思ってのことだったのに!とひどく悲しんだりするでしょう。

このズレは、親が自分の無意識の深層心理に気づいていないことが原因です。

子どもの人生を乗っ取る毒親の深層心理とは?

Aさんの母親のように、子どもに「いい子」であることを望み、
子どもの人生を何でも決める親側の深層心理を見ていきましょう。

実は、このような親の深層には、自己否定、劣等感、無価値感、恥、罪悪感があります。

それらを感じなくて済むように、
子どもに、親の期待に応えてくれる「いい子」であって欲しい欲求
「いい親」として認めてもらいたい欲求があります。

そのために子どもの教育や習い事に一生懸命になり、
何でも決めて、指示を出し、
怒ったり、おだてたり、脅したりして、子どもを動かすのですが
それが、結果として、子どもの人生を乗っ取ることになります。

つまり、親自身が持っている自己否定、劣等感、無価値感、恥、罪悪感などを、
子どもに消してもらって、安心を得ているのです。

これは、親子の役割逆転であり、
親子の共依存関係(互いが相手を必用として支配と依存する関係)です。

このような「いい親」でありたい親が重視するのは、
権威や影響力がある人の意見や、世間や自分の親の評価であって、
親自身の気持ちや考えは持っていません。

なので、言うことに一貫性がなく、時と場合によってコロコロ変わる傾向があり、
それは、子どもを混乱させ、どうしたらいいかわからなくさせる一因でもあります。

解決するためには?

親が、自分の自己否定、劣等感、無価値感、恥感情、罪悪感を認めて、
自分で埋めていかない限り、
子どもに消してもらおう、満たしてもらおうと、
無意識に子どもを「いい子」に仕立て上げ、あやつり続けます。

素の子どもを否定し、「いい子」であることを望むので
子どもは、自己否定、劣等感、無価値感、恥感情、罪悪感を抱えます。

親は、いつも世間や自分の親からの評価を意識して
子どもの自立を阻み、子どもを利用し、
子どもにしがみつく。

子どもは、そんな親の価値感の中で生きて
・自立できず、自分の人生を歩めない
・仕事や人間関係が続かない
・自分のしたいことがわからない
生きることが不安と恐怖になる。

つまり、
親の価値感や感覚、生き方を、同じように子どもは引き継ぎ(世代間連鎖)
親も子どもも、自分の人生を自分で自由に生きていないのです。

この問題を解決したいとき

親でも、子どもでも
自分自身の自己否定、劣等感、無価値感、恥、罪悪感などと向き合い、
心の傷付きを癒し、自分で安心感を身に付けていくことが必要です。

 

これまでずっと、自分の人生を自由に生きていない人には
これからの人生をどういきたいのか?を考えるのは
未経験で、とても怖いものです。

それでも、自分で考え、選んでいくことは、とても大切なことです。

Aさんは、自分と向き合い、傷付きを癒し、安心感を育てながら
少しずつ自分が好きなことや、心地良いことを選んでいくことを始めました。

「これからが、楽しみに思える!」とのことでしたよ。

 

では、また~。